女性従業員から上司のセクハラを相談され会社として困っている
<セクハラ>
平均的な女性・平均的な男性がそう思えば、それは即セクハラ…というところが、パワハラとの最大の違いです。被害者がそう感じれば=それは即「セクシャルハラスメント」です。
そもそも「歴史」が違うのです。セクハラは「1970年代アメリカの女性雑誌」が起源です。パワハラは2001年にクオレシーキューブの岡田康子さんが造語されました。比較的まだ最近ですね。昔は「職場いじめ」などと言っていました。
セクハラは1999年に法律上(男女雇用機会均等法)の定義も制定されています。パワハラは2020年6月ですね。
わたしの相談経験からすれば(労働局相談員)、行為者・加害者の主張する「酔っていて(セクハラしたことを)覚えていない」はうそです。自分が致命的になるような相手の前(たとえば、取引先社長の娘さん、上司の奥さんなど)では、飲酒しても必ず覚えており、不法行為などは絶対にしないからです(つまり、やっても大丈夫だと思う相手だからこそやると言うこと~パワハラ的な要素もあります)。
人としてどうしょうもない「セクハラ体質人間」はいますし、誤解されやすいですが「世代的」にもあるようです。
セミナーなどではよく「自分の妻や娘が同じことをされてもあなたは平気なのか?」がひとつの基準であり、行為者への反省示唆の言葉になっています。
その理屈でセクハラを防げればいいのですが、現実はそれほど簡単ではありません。
会社はしくみをつくって「最大防御」と「最小被害化」をめざすことしかできないのです。
そのしくみとは、
①トップの強い思いとそのメッセージ発信(一番大事)
「うちの会社でセクハラは絶対に許さないからな!」
職場からセクシャルハラスメントをなくすと言う企業メッセージです。
②アンケートや聞き取り調査の習慣化
常に職場の現状把握をします(これも超大事です)。
③就業規則・懲戒規定などの整備
セクハラ防止規程やセクハラマニュアルも整備(わたしもよく策定を依頼されます)。
④相談窓口設置(内部・外部)
ただし、「具体的な」連絡先が「周知」されていないと意味がありません。
⑤啓発・周知努力
制度を作っただけでは意味がありません。
⑥教育と研修
継続して行うことが必要です。経営陣、管理職、従業員にわけて行うことも検討します。
⑦円滑なコミュニケーション
あいさつ、情報の共有化、報連相の体制、傾聴すること・・これらはしくみ化できるのかとよく聞かれます。習慣化、しくみ化ができることも多いです。
⑧再発防止の取り組み
今回の事案を解決して「めでたしめでたし」なのではありません。
この①~⑧は、パワハラであっても、ほかのハラスメントの際でも、同じしくみが必要です。