従業員から「うちの就業規則を見せてほしい」と言われた
<就業規則>

ある社長から「就業規則は従業員には見せないようにしている」と言われて、驚いたことがあります。

「就業規則」作成の届出や、内容変更の届出までは行われますが、それでおわりではありません。
従業員にその内容が「周知」されて、就業規則ははじめて「効力が発生」するのです。

周知とは「使用者は、就業規則を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、従業員に周知させなければならない」のことです(労働基準法第106条)。

就業規則の届出後、従業員に、就業規則の内容を「周知」させて、はじめて効力をあらわすと言う意味です。もちろん作成・変更した時にだけ「周知」をすればよいと言うわけではなく、従業員が就業規則の内容を「確認したいな」と思ったときには、いつでも確認することができる状態にしておく必要があります。

上記のことを「たいした話ではない」と思っていると、あとで大変なことになりかねません。裁判で「就業規則上は、会社の方が正しい」と言う流れになり「会社が勝った」と思ってひと安心していると、相手方弁護士さんから「就業規則が従業員にきちんと周知されていなかった」と言う一発逆転の主張があり、就業規則の成立自体を「無効」にされること(→裁判は会社の負けになる)…があるので要注意です。

労働基準法にある就業規則の周知の方法は3つです

  • 常時各事業所の見やすい場所に掲示し、または備え付けること(休憩場所や更衣室など従業員が誰でも手にするような場所に置いておくことが必須です)
  • 書面を従業員に交付すること(ただし外部への持ち出しはダメ)
  • パソコンなどでデジタルデータとして記録し、従業員がいつでもアクセス閲覧できるようにすること

最近は③が増加してきています。当事務所の関与先で、大企業のように社内サーバーのない中小企業ですが、かわりに専用のI(アイ)パッドで見ることができるようにしました。

周知とはいえないパターンは

  • 口頭での周知(→書面が必要です)
  • 一部の従業員のみへの周知。見たいと言ったらその人だけ見せたり、課長以上は見てよいと言うのは「アウト」です
  • かぎのかかっている机の引き出しなどに保管

などです。

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